FC2ブログ

ワタシはカラダをテツガクする

病気が集まってくるカラダを自慢している。 生きてる以上テツガクするしかないね。めんどくさいけどね。

vol.527 5月11日~また来てね~






博多の友達が、
彼にお別れを言いに来てくれました、
彼の大好きなヒマワリを飾ってくれました、、、

この友達は、彼とも気が合っていて、
よく一緒にお酒を飲みました。
彼はサバサバしてる女の人が好きでした。
この友達はいつもサバサバしていて彼に病気のことなど話さず、でもそれは無理して気を使ってるわけでもなく、ただ、一緒に楽しもう!!と、
普通に自然に彼に接していました。

心配していてもそれをいちいち口に出さず、彼が自然に楽しめるようにしてくれていて、それを彼も分かっていました。
だから彼はこの友達に心を開いていました、、、すごく仲良かったです。


だから、この友達が来てくれて、
彼はすごく喜んでくれていると思います。


何もやる気がせず、
あんなに好きだった仕事も頑張る気がしない、、、
ただ彼のいないことやその悲しみを受け入れられない私に、

それでいいんよ!
何もしなくていいし、無理する必要ないから!!
仕事なんかどうでもいいやん!!


と、彼女は言ってくれました。
どれだけ、楽になれたか、、、
救われました。
彼女は一泊の予定を二泊に延ばしてくれて側にいてくれました。
彼のお父さんやお母さんとも仲良くなり、悲しみに暮れている私達に僅かな安らぎの時間を与えてくれました、、、


皆様の優しいコメントや励ましの言葉、
彼女のような友達の優しさに触れ、
私の心は救われています。
本当にありがとうございます。
この感謝を忘れず、
今日の私はまた少しだけ前に進めます。


ただ、
彼の存在は大きくなるばかりです、、、
何をしてても、彼の気配を探してしまいます。


お母さんが、

今、ジョカノちゃんの横にワタシがいるような気がした!!


と言ったりするとやけに安心できたり、、、
彼の飼ってた猫やうちの猫が変に騒ぎだすと彼が逢いにきてくれた気がして嬉しくなったり、、、


私はこうやって、毎日せめて彼の気配いを探して生きていくしかないのです。
それでも幸せです。
淋しいけど幸せです。
彼を忘れられず、忘れたくない、、、
彼と生きたこの5年に支えられ、今の私が存在します。


たった5年です、、、
でも、この5年私は彼と生きました。
彼に愛され、彼を愛して。
それは一生分の幸せで、
2度と感じることのできないかもしれない幸せかもしれません。
それでも、それなら構いません。
彼にもらったモノで私は充分です。




「僕に残された数十年
もがいて泣いて生きたくらいで
変わりはしないだろう


絶望の時代で分かってるんだよ
愛だけじゃ世界は救えないことも
そう でも
愛で救われた事実を
人は忘れられないんだよ」


この歌詞が好きなんだ~
どうしようもないことをちゃんと歌うのって大切だよね~
ま、どうしようもないから歌ってもどうしようもないんだけどね~


と彼は笑ってました、、、


















ICUに行く準備が整い、
私達は手を繋いで話をします、、、


彼はやたら挿管を嫌がっていました。
話が出来なくなるのがどうしても苦痛だと、、、


もし、そうしようって言われても俺は最後まで抵抗してやるぞ!!といたずらっ子のように笑っています。


よし、抵抗しよう!!
と私も笑います。


CCUの時のことが本当に嫌だったのだとおもいます。
2人で2年前のCCUでの出来事を色々思い出して話していました。





いきなり、病室にお母さんが泣きながら入ってきました、、、
「お願い!!もう一回頑張って!!」


タクシーを飛ばしてきたので、
お父さんとお母さんは思った以上に早く病院に着きました。
本当に早かった、、、
病院までは電車だと1時間はかかりますが、この時は病院から電話があって30分もかかってないと思います。
高速に乗ってもらい急いでもらったと後から聞きました。
タクシーの中でもお母さんは泣いていたと、お父さんが言っていました、、、


泣いてるお母さんを見て、
彼は
「何泣いてんの?!
大丈夫だよ!!!!」
と、ぶっきらぼうに言いました、、、
私は何も言えませんでした、、、
とにかく不安で不安でたまらないなか、動揺することも涙することも必死で耐えていたので、お母さんの涙や言葉で自分まで崩れてしまいそうで、、、
何も言わず、ただ彼の横に座っていました、、、


彼がお母さんにぶっきらぼうに接したのも私と同じ理由なのではないかな、、、
それに、彼も私もお母さんが悲しむほど今の状況は悪くないと信じたかったのだと思います。


お母さんは涙を拭きながら、
トイレに行ってくると、部屋を出ました、、、


彼が小声で、
「母ちゃん、大袈裟だよね?!」
と聞いてきます。



私は1日中側にいたから経過が分かるし、ワタシくんが元気なのも分かるけど、この姿や状況をいきなり言われたら心配するやろ?
と私が言うと


それもそうだな~
びっくりするわな~


と申し訳なさそうでした。
でも、私はご両親が来てくれて心から安心しました。
ホッとしました。

1人ではどうしていいか不安でたまりませんでした、、、
でもご両親が来てくれて心強い。


ICUの準備が整い、
彼はベッドごと運ばれます。
私達は専用エレベーターに乗るとこまで着いていきます。


後で行くからね~と手を振りました。


何度こうやって彼を見送ってきたか、、、
1番初めの手術から数えて何度目だろう、、、


エレベーターの扉が閉まります。
また私と彼の間には大きな扉が阻みます。彼との時間が制限されるのです。


彼がICUでは面会がなかなか出来なくなることを心配していました、、、
その通りなんです。
私と彼はいつも何かに制限され、阻まれていたように思います。





病院の面会時間、
治療、
CCU、
病室にいても看護師や先生が入ってきます、、、
いつもいつもそうでした、、、
自由な時間や空間はなかった、、、




退院したらいっぱい一緒にいれるんだから!!
それだけを願い、
それだけを励みにしてきました、、、
でも、まただ、、、と遠のく願いに肩を落としました。


彼がICUに入って、
私達は外の待合室で呼ばれるのを待ちます。
2年前もCCUの待合室でいつも待っていたのを思い出します。
お父さんはいつもウロウロして、
私とお母さんは並んで座って、
会わせてもらえる時間を待っていました、、、
あの時間は長く長く、
静か過ぎて
耳が痛くなりました、いつも。



遮断されたアノ中で彼は何をされ、
何を思い、
そして、私たちはいつになったら彼に会えるのか、、、
静かな待合室ではいつも時間が止まってしまったのではないか、、、と、不安でたまりませんでした。





また、この待ち時間だ、、、
彼に早く会いたい。
彼の不安や寂しさを考えると胸が痛くてたまらないのです。
私に出来ることがあるとしたら、
彼の手を握ってそれらを少しでも紛らわすことだけです、、、
それしかないのだから、早く中に入れて欲しい!!!
早く、、、



やっと、先生に通されます。
中に入れてもらえます。
入り口で手を綺麗に洗い、消毒をして、マスクをつけます。
CCUで毎日していたことです、もうこの辺の流れは慣れたものです。


彼のベッドにすぐにでも行きたいのに、
先生にカンファレンスルームに通されます。
彼の状況の説明です。


正直、まずはそれよりも彼のとこに行きたい、、、
あ、そうだ、、、
2年前もいつもそう思ってたな、、、


先生の説明だと、


右肺にまで菌が回ってると。
左肺に菌があって呼吸は右肺に頼ってきていたので、
右肺まで菌が回り呼吸が苦しくなるのは当然だと。
だから、病室の酸素マスクでは事足りないのでここで最新の呼吸器をつけましょう。で、呼吸を確保しながら肺の菌をやっつけていこう!!

と、さっき撮ったレントゲンを見せられました。
右肺に小さな点がたくさんあるのが分かります、、、


夕方入れた血小板の輸血で血小板も正常な数値に戻りつつあるとのことで、
そこは少し安心しました。


説明を受け、
やっと彼のベッドに通されました。


彼の頭の上にはモニターがあって、
心拍や血圧、酸素、呼吸数が映しだされています、、、
CCUで、この見方も把握しています。


万全ではないにしろ、
不安な数値ではありませんでした。


彼は椅子を持ってきて座るように言います、、、
いつも、そうです。
立ってベッドの周りに居られるのが嫌いなのです、、、
周りに立たれて見下ろされると嫌だ!!といつも言いますが、
本当はすぐに帰ってしまうのではないかと不安なのだと思います。


彼は思ったより落ち着いているように見えます、、、



目の周りを拭きたいと言いました。
お母さんが買ってきてくれた消毒コットンを気に入っていましたが、、、
ここには持ってきていません。


お母さんが取って来ようか?
と聞くと、

いいの?じゃあ、持ってきて~と申し訳なさそうに言いました。

いいわよ!
取ってくるね!!とお母さんが病室に取りに行きます。


お母さんが出ていくと、
親父明日も仕事だよね~
こんな時間だけど大丈夫かな~と、
お父さんにではなく私に言ってきました、、、


お父さん!
ワタシくんが仕事のこと心配してるよ!!と言います。


大丈夫だよ。
と、お父さんは答えます。


お父さんはいつも、ベッドから少し離れたとこに座ります、、、
酸素マスクしてる彼の声は聞こえないと思います。
彼の横にすぐに駆け寄る私やお母さんとは対照的に、
お父さんはいつも少し離れたとこで黙って座っていました、、、いつも。
男親とはこういうものだと思います。
でも、そこにお父さんが座っててくれることが彼は安心するのではないかな、、、それだけでいいのだと思います。女の私達はやたら色々心配して、話しかけ、世話を焼きます。
でも、お父さんには座っててもらえるだけでいいのだと思います。



彼に時間のことを言われ、
初めて時計を見ました。
もう、12時前です、、、


お母さんが戻ってきました。
目の周りを綺麗に拭きます。

今度は看護師が連絡先の確認にきました。
何かあった時に連絡する電話番号の確認です。
お母さんが看護師と出て行きました。


入れ替わりで入ってきた看護師が
点滴などのチェックをします。
この時グロブリンを点滴していました、、、


看護師が私達をちらっと見て、


電車は大丈夫なんですか?

と冷たく言いました、、、


タクシーで帰るから大丈夫だよ!!
と彼がキツく言いました、、、
看護師は何も言わず出て行きます。


あの言い方はなんだ!
明日からあいつはいじめてやろうと彼が意地悪な顔で笑いました。


看護師も、悪気はなかったんだと思います。でも、電車の時間など心配してもらわなくて結構です。
今は彼の側にいたいのに、彼も私達にいて欲しいのに、、、


今度は違う看護師が
お父さんに
12時過ぎたのでそろそろ、、、
と言いにきました。


お母さんが戻ってきて、
帰ることになりました、、、
彼はまだ帰って欲しくなさそうでした、、、
もちろん私達も出来る限り彼の側にいたかったのですが、、、
病院のルールに従うしかありません。



ベッドの周りを囲ってるカーテンを開けて出ようとすると、
彼が、





ジョカノちゃん!!
また来てね!!!







と手を振りました。


当たり前なのに、、、
明日も来るに決まってるのに、、、


私は、
また、明日来るよ!!!

と手を振りました。
笑顔で、手を振り合いました。










また、来てね。




意識のある彼が発した最後の言葉でした、、、
また明日も会える、
彼も私もお母さんもお父さんも
そう思っていました。
明日も明後日も彼に会いにきます。
当たり前のことなのに、、、



彼は
また来てねと言いました。
彼がいるなら、
私はどこにでも会いにいきます。
でも、今はどこに行けばいいんだろう、、、



あの日、
明日はリップを持ってきて!と彼は言っていました。
酸素マスクは唇がすごく乾くんだよ~と、、、



明日はもう永遠に来ません、、、
あの日リップを塗ってあげてればよかった、、、
今でも彼の乾いた唇が気になって仕方ありません、、、
なんで塗ってあげなかったんだろう、、、
明日はもう永遠に来ません、、、












vol.526 母への愛 母からの愛

今日は
5月11日のことはいったんお休みさせてください、、、






昨日から彼の実家に行ってました。
昨日の夜はお母さんが久しぶりにご飯を作ってくれました。
彼のお母さんは本当に料理が上手で、
彼がグルメだっのは仕方ないかな、、、


お父さんとお母さんと3人で、
彼が退院したら飲もうと決めてた
白ワインを飲みました。
もちろん、彼の位牌の前にもワイングラスを置いて4人で飲みました。


私は彼のベッドで寝ました。


ずっと不眠で
夜な夜なブログの更新をしていたのに
昨日はびっくりするくらい
安眠でした、、、
彼の気配がしてたからでしょうか、、、




朝、起きるとお母さんが朝ごはんを作ってくれてました。
私が泊まりに行った次の朝、
いつも彼とご両親と4人で食べてた朝ごはん、、、
あの時と同じ、
お母さんのお味噌汁は変わらず
美味しくて、、、
時間が止まってるような
気になりました。











私では役不足です。
彼がいなくなって、
ご両親の悲しみは深く、
ご両親の淋しさは途方もなく、

それでも私は
彼の分までこの2人を大切にすると
彼と約束しました。

親父と母ちゃんを
頼むよ、、、と。
彼は生前いつも事あるごとに言っていました。
任せて!!と、約束したもんね、、、



彼のご両親は
私を本当に可愛がってくれます。
実の娘だよ~と言ってくれます。
彼がいても
彼がいなくなっても、、、


私の両親は遠く離れた広島にいて、
彼のご両親がいつも私の面倒を色々見てくれます。


今日、


彼のお父さんと自転車に乗って、
彼の携帯の解約に行きました。


その後、


彼のお母さんとまた自転車に乗って
晩御飯の買い物に行きました。



家族ごっこかもしれません。
私なんかにはこの2人の悲しみや淋しさは癒せない、、、
彼がいないとダメなんです、
それでも私は彼を生んで育てて、愛してきたこの2人が大好きで、
心から感謝をしています。
この2人のお陰で
私は彼と出逢えました。


だから、役不足だろうと家族ごっこだろうとこの2人を支え守っていきます。
彼との約束だから。



さっき、
自分の家に帰ると
広島の母から電話がありました、、、



母さん、私ね、もう誰も好きになったり、結婚はないと思うわ、、、
ごめんけど、、、

と言うと、
母は、


ワタシくんがくれたメールを全部保護したよ、、、
今日、ワタシくんが今迄くれたメールを読み返してね、、、
あんな優しい子いないよね、、、
忘れれんよね、ワタシくんのこと。
忘れれるわけないわ、、、
あんたがそう思うのは当たり前じゃわ。
だって、母さんもそう思うもん。


と、2人で泣きました、、、



母がここまで言うのはわけがあります。
彼は自分の両親だけにとどまらず、
私の両親、兄妹まで大切にしてくれました。


付き合い始めた頃、
自分の病気のことを長い長い手紙にして、うちの両親に送っていました。
最初はうちの両親も驚き、心配していましたが、
その後彼が広島の実家まで来てくれ、
両親はすぐに彼の人柄を知り、心配するどころか本気で応援してくれるようになりました、、、



母や妹には定期的にメールをしてくれたり、何かプレゼントを送ってくれたり、、、私が知らないうちにそういうことをしてくれていました。


うちの母の母、
つまり私のばあちゃんが
パーキンソン病になったときも、
すぐに御守りを送ってくれていました、、、


妹の結婚が決まったとき、
妹の妊娠がわかったとき、
私よりも喜んでくれました、、、

人付き合いが苦手な妹ですが、
彼に惹かれ、
彼になつき、
彼の健康を心から願っていました。
妹は今妊娠4ヶ月ですが、
彼に子供を見せるのを楽しみにしていました。
妹は彼のことを本当のお兄ちゃんとして慕っていました。
彼の入院が長引いてることを知り、
博多から夫婦でお見舞いに来たりしてました、、、
彼の事が好きだから、
本気で心配していました、、、


うちの家族は
病気の彼との交際を反対する人は誰もいませんでした、、、
みんな、彼の人柄、優しさに惹かれ、
彼を誇りに思っていました。


父も、
義理の息子になってほしかった、、、と葬儀の後泣いていました、、、


彼のご両親は
大事な年頃のお嬢さんなのにすみません、、、と、
うちの両親にいつも謝っていましたが、うちの家族は彼のことが大好きでした。


クールな彼でしたが、
いつも自分の家族、私の家族を大切にしてくれました。



私が1番印象的なのは、
ちょうど1年前の今頃、
母の日のプレゼントで
お母さんとうちの母に旅行をプレゼントしてくれたとき、、、


申し訳ないと遠慮する母に、


俺がこんなんで
母ちゃんに苦労ばっかかけてるから
ゆっくりさせたいんよ。
1人じゃ行かないから
付き合ってやってください、、、

と母に頭を下げました。
母の遠慮を取るために、、、
わざとそういう言い方をしてくれました、、、


母はそれならとお言葉に甘えます、、、と頭を下げてました。



もちろん彼から2人の母への感謝の印の旅行であることは間違いありませんでした。
でも、
そういうことがさらっと解り、気遣える人でした。
私はその時、
更に彼を尊敬したのを覚えています。
色んな人の気持ちを汲み取り、
優しく接することのできる人でした、、、


そんな彼だったからこそ、
みんなの心にいつまでも残るのだと思います、、、
みんなが涙し、
みんなが彼の死を悲しみ、悔しんで、
彼の事を忘れない、、、
あんな彼だったからこそ、、、






彼のお母さんからの
コメントです。




「長い長い闘病生活の中にも彼女との楽しい日々があった、幸せな時があった、死の間際まで息子は思っていたと思います。

息子は遺言書をのこしていました。

最後は、傷みがないように、麻薬を使ってでも安らかに死にたいと……

その遺言を守ってやれなかった事が残念です。

もう少し早く遺言書を開封していれば延命治療はしなかった。

どんな辛い、検査、治療も、文句一つ言わないで耐えてきました。

なのに最後の願いも聴いてやれなかった。

本当に悔しい。

もう、傷みも感情もない国へ旅たってしまいました。

優しくて、賢く、私には過ぎた息子でした。

許してくれるならもう一度親子になりたい。


私は息子の死を受け入れる事はできません。

最後にこのブログを読んで下さいました皆様本当にありがとうございましたm(__)m


もう暫く彼女に付き合って下さいませ。 」




私は、

お母さんの事が大好きで
お母さんを大切におもい、
お母さんと仲良しの彼が大好きした。
自分の母親を大切にしてる彼だからこそ
私は彼を心から信頼できたのです。




以前、




俺のことマザコンだと思う⁉︎


と聞かれたことがありました、、、


マザコンって何?!
自分を生んでくれた人、
自分を愛してくれた人を
大事にできん人なんて
私は大嫌いだから!!!
マザコン大いに結構やろ!!!

と私が答えると、



ジョカノちゃんはもううちの家族の一員なんだから、ジョカノちゃんは親父を頼むよ?
俺は母ちゃん、ジョカノちゃんは親父ね!


と言われました。


このブログの中で
彼も何度も書いていました、、、
両親への申し訳ないと思う気持ちを。
私にもそれを何度も言っていました。
ひとり息子の俺がこんなことになり、、、と。
自分を責めていました。
1人息子のプレッシャーを感じていました。
親を悲しませてると、、、何度も何度も私の前で泣きました、、、









彼がよく聞いてた曲です。
母への想いを歌った曲でした。
私もこの曲は大好きです。


「いつだって言葉は無くても
無償の愛で僕を包んでくれてた
桜の公園で幼い僕の手をひいて
歩いてくれた
それが最初の記憶


いつも笑って話して
通ってたあの思いも
今はもう届かないんだよ
愛してくれた気持ちの分量を
僕はきっと返せなかったんだよ
1人涙を飲む



笑って話して
通ってたあの思いも
今はもう届かないんだよ
あの頃照れくさくて離した手を
もう少し繋いだままで
歩けばよかったな


いつも笑って話して
通ってたあの思いも
今はもう届かないんだよ
今の僕が
あなたの為に出来ることは
明日も変わらず
笑って生きていくこと

大切な人との間に
僕もいつか命を産むだろう
その時は
あなたがしてくれたように
大きな愛で守れるように
強くなるから
心配しないで、、、
休んでいいよ、、、」




vol.525 5月11日~じゃんけん~


彼が毎日あの病室で
何を見て、何を考えていたのか、、、

私はこのブログを見て
すごく驚きました、、、


彼の病気や死への冷静さ、
テツガクしようと模索する姿勢、
葛藤、
不安、
そして生きようともがいてること。



私の前の彼とのギャップを
感じました、、、
彼は私の前では難しいことは
話しませんでした、、、
特に入院中は。



入院してない時、
お酒を飲みながら
お互いの人生観や夢、
それぞれの彼の病気との付き合い方などは話しましたが、
彼は病室にいるときは
一切と言っていいほど
そんな話はしませんでした。

子供の様にふざけ、
子供の様に笑い、
子供の様に甘える。


そんな彼から想像もつかないような
ブログの中の言葉。
彼は孤独だったのかもしれない、、、
私や家族を心配させないよう、
自分の中の不安や葛藤をここでしか出せなかったのではないか、、、


そう思うと、胸が締め付けられます。
彼の孤独を私は共有できなかった、、、
悔しくて、情けなくて、、、
申し訳ない気持ちでいっぱいです。
彼にもっと出来たことがあったはずです。
今更です、、、



彼が病気を打ち明けてくれた5年前、
俺といたら後悔すると言った彼に
私は言いました。



後悔するかなんて、
先のことなんて、
今は分からんよ。
ただ、この一瞬一瞬を、
この今を、
必死で生きよう。

必死で生きたこの「今」が
積み重なって、
2人の人生になるやん。

先のこと考えないで。
うちらの照準は常に
「今」だけでいいんよ。



そう思って、一生懸命やってきたのに、、、



なのに、私は後悔ばかしています。
もっともっともっともっともっと、
彼に出来たことがあったのではないか、、、と。
きっと彼は天国でそんな私を笑っていますね、、、



不甲斐ない、不出来な私を
彼女として大切に大切にしてくれました。
彼氏が病気と知ると、
反対する人、
憐れむ人、
心配する人、
たくさんいました、、、


でも、私は幸せでした。
彼が私を彼女に選んでくれて、、、
幸せでした。


彼がいなくなる1週間くらい前に
夜中に彼からメールがきました。


こんな彼氏でごめんね。


と。



こんな私を彼女にしてくれて
ありがとう!




と、返信しました。



本当ジョカノちゃんは
変な女やね。笑。


真夜中の2人のやりとりです。







人生最高の幸せ
人生最高の喜び
人生最高の悲しみ
人生最高の悔しさ
あなたが全部教えました、私に。
あなたしか私に教えてくれる人はいません、、、
他の人では教えれない、、、






「いつまでも 続けと願っても
僕の命は終わりがあって
だからこそ 輝ける

今と向き合う意味を
声を枯らし叫んでるから

僕らの生きていく世界は
毒もあって
時に愛も踏みにじられる

それでも 最後の日に
愛されたことも思い出せますように


青空が最後につけた言葉の色
僕に答えをくれた
「この人生は僕のもの」 」



彼がよく病室で聞いてた曲です。
彼がどんな気持ちでこの曲を聞いてるのか、、、
ただ、その時私は、
横にいることしかできませんでした。








サザエさんがもうすぐ終わります。


今週はジャンケン勝とうね!!
と彼は楽しそうです。





先生と看護師と研修医が病室に
入ってきました、、、
繋いでいた彼の手に力が入ったような気がしました。


ワタシさん、
ちょっと提案なんだけどね、
ICUに行こうか?


先生は明るくハキハキと言いました。


彼は
はぁ。。。
とだけ答えました。


いやいや、
ほら、もう病室じゃこれ以上
酸素レベルあげれないし、
ICUならもっと高性能で
楽に呼吸できる酸素マスクがあるからね~そっちの方がいいかな~


と。
あくまで軽い感じで言いました。



彼が私に

ジョカノちゃんは
どう思う?

と聞いてきます。






私はなかなか言葉が出てきません。
頭の中は2年前のことが
走馬灯の様に駆け巡っています。


声を振り絞り、

行ったほうが
ワタシくんが楽になれるんですよね?

と先生に聞きました。



先生は
大きく頷きました。


じゃ、行こうか?


と私が言うと
彼は、


ジョカノちゃんが言うなら
行こうかな~と笑いました。


サザエさんの
ジャンケンが始まりました、、、


看護師が、
では、ICUの準備が整ったら呼びにきますね、彼女さんは移動する準備をお願いしますね。

と私に早口に言いました。


え?!
今すぐ行かないと行けないんですか?


私は驚きました。
そんなに急ぐ必要があるくらい
彼の中で何かが起きてるの?
ちょっと待ってよ、、、

私の顔色が変わり、
先生が慌てて説明をしました。
ただ、明るく。



うん、行くなら早い方がいいよ!!
ジョカノさんが帰ったあととか
心配だからね。
ICUなら完全体制でワタシさんを
見てくれるし。
ね?!
今からご両親にも電話で説明するからね!!



先生達が出ていきました。
サザエさんはもう終わってしまいました、、、
彼も私も何も話しません。


私は悔しくて怖くて
どうしていいか分かりません。
2年前の様に彼が生死を彷徨ってしまったら、、、
彼に何かあったら、、、
気付いたら涙が溢れていました。


私は彼の手を離し、
なるべく彼の方を見ずに、

ちょっとトイレ行ってくるね、

と部屋をでました。
そのまま一階まで降りて
外にでました。

涙が止まりません。
怖かったのだと思います、、、
自分でもなんでこんなに
涙が止まらないのか分かりません。

とにかく彼にこんな姿を見せたらダメだ、それだけは強く思いました。
あまり遅くなると彼が変に思うし、
病室に1人きりにしてきたことも心配です。
早く戻ろう!
でも、涙が止まらないのです。
悔しくて悔しくて悔しくて、
彼の気持ちを考えると辛くて辛くて辛くて。
真っ暗な空を睨みながら泣きました。



病室に戻ると彼はぼーっと
つまらないテレビを見ていました。
目が赤くなっていました。
彼は泣いていたんだ、、、


私はすぐにベッドの横に座ります。
彼はまた私の膝の上に手を置きます。
私は優しく手を握ります。
また涙が溢れてきました、、、
きっと彼はそれを見ていました。




CCUの時もあんまり面会できなかったんだよね~
ICUもそうなんかな~


と彼が独り言のように呟きます。


あん時は一刻を争う大変な事態だったから治療の邪魔にならないために入れなかっただけだよ?

今回は呼吸がもっと楽に出来る様にってことやったやん?
だから、大丈夫だよ、一緒にいれるし、
お母さんもずっといてくれるよ~

と答えました。
彼は
そうだな~とまた独り言のように言いました。


私は
お母さんに電話します。

すぐにお母さんは電話にでて、
私が何かを言う前に


ジョカノちゃん!!
すぐ向かうから!!!


と言って電話を切りました。
先生から説明の電話がきていたのでしょう。


私はICUに持っていく彼の荷物をまとめます。
彼は、持って行くものを私に指示を出しています。

ジョカノちゃん、
洗面用具入れた?

あ、ジョカノちゃん、
あの読みかけの本も持って行きたいよ?

ジョカノちゃん、
ジョカノちゃん、
と、、、
私に持って行きたい物を
どんどん言ってきます。

ねぇ、ワタシくん、
すぐにここに戻ってくるんだよ?

と私が言うと、
彼は、

それもそっか、、、
じゃ、必要最低限で行こうか!!


と笑いました。


そう、すぐに戻ってきて貰わないと
サザエさんとのジャンケン一緒にできないじゃん!困るよ!!


と、私は大袈裟なくらい
ふくれっ面で彼を怒ります。


あ、今日できなかったもんね~


彼はまた笑いました。


私は荷物をさっさとまとめて、
また、ベッドの横に座ります。
彼が膝に手を置きます。
また、私は優しく握ります。
今は2人の不安が
繋いだ手からお互いを行き来してるだけです、、、







この手を絶対に離したくない


と強く強く思っていました、、、












vol524 5月11日~最後とは思わず~

うつらうつらしてる彼の手を握りながら、私は幸せで幸せで何度も彼の手を撫でました、反対側の手で。


ふと彼の気配が変わります。
寝ていると思っていた彼は起きていて私の方を見ていました。


何か言おうとした瞬間に、
看護師と先生が揃って入ってきました。


ワタシさん、苦しかった?

と先生が聞きます。

彼は

いえ、、、別に。


モニター見てると酸素が少し足りて無いんだよね、、、

と、先生。

あっ!!!
先生、今、彼はうたた寝していたから
無意識だと呼吸が足りてないのかもしれません!

と、私が答えると、
先生が

睡眠中も楽に呼吸出来る様に
酸素レベル少し上げようね

と、、、
看護師が酸素レベルを4から6に上げました。
そして2人きりになります。
なんだか私は現実に引き戻されます。
そうだ、状況は決してよくないんだ、、、


彼が、

そういえばジョカノちゃん、
なんか持ってきたの?

と、窓辺の私の荷物を指差します。
そうだ!!
忘れてた、、、彼を紛らわそうと買ってきた雑誌を、、、

彼に雑誌を渡すと、
彼は嬉しそうにその雑誌をめくります。
でも、皮膚という皮膚が乾燥しています。左手には酸素計が繋がっています。
もちろんうまくめくれません。

私はすぐに彼の代わりにめくります。

彼はすごく真剣に1ページずつ見ています。

この靴いいね~!
このスイカ柄のシャツ俺似合いそうやない~?

靴が大好きな彼。
ちょうど夏の靴の特集が組まれていて、
一生懸命その特集を見ています。
花柄のスニーカーとピンクオレンジのスリッポンが気になったようで、
そのページの端を折り曲げました。


退院したらまず靴を買いに行きたいから
着いてきてよ~
楽しみだな!!
この雑誌好きなんだよ!!
楽しいね!!

と何度も言ってくれました。
私はそれを真に受け、得意気になりました。彼の病気は治せないし、無力だけど、彼の好み、彼のセンス、彼の性格、彼の気持ちは理解できる、、、誰にも負けない!!!






時計は4時半。
いつもなら彼がシャワーを浴びる時間です。
シャワーやお風呂が大好きな彼。
でも、今日は何も言いません。
大好きなシャワーを浴びる元気もないのでしょう、、、
後で体を拭いて着替えさせてあげよう、、、


彼が私にベッドに座るように言いました。
そして私に、体を起こして隣に座らせて欲しいと言います。


大丈夫と??
心配する私に、

隣に座りたいの!!!
と駄々っ子のように足をバタバタさせてふざけます。

はいはい。


私は彼の体を起こします、酸素マスクの管や、彼の体の管に気をつけながら体を起こして、ベッドのふちに2人で並んで座ります。

ねぇ、この図おかしくない?!
と2人で笑います。


なんで無理して起き上がったのかな~
とても苦しそうに見えます。


ねぇ、横になろうよ、、、
と私が言っても嫌がります、、、


10分くらい、何も言わず2人で並んで座っていました、、、
彼は私の手を握っていました。
温かい大きい手です。


今度はテーブルに座らせろと、、、
もちろん頑として私の心配を振り払います。
仕方なく、テーブルに座らせます。


今度はパソコンを出せと。




ジョカノちゃんのiPodに入れたい音楽があるからさ~


ねぇ、別に今日じゃなくていいやん!
酸素マスクしてまですることじゃなくない!?


昨日ね、重いのに親父に持ってきてもらったんだよ~



ねぇ、、、
今日じゃなくていいよ、、、
来週でいいやん?


全然私の言うことを無視して続けます。


そこのコンセント入れて~



ねぇってば!!



彼は大きく溜め息を着いて、

今日したいんだよ、、、
そのために親父に運んでもらったんだ、、、
来週じゃダメなの、、、


少し悲しそうに私に訴えます。



私は仕方なくパソコンをセットします。
彼は、鼻歌を歌っています。
そして、私のiPodに7枚のアルバムを入れてくれました。


彼は満足そうにまた鼻歌を歌っていました。





先生がまた入ってきました。



ワタシさん、座ってて大丈夫なの!!
横になってた方がよくない!?



彼は、
座ってるほうが楽なんですよ、
咳がでなくて。
と、慌てる先生を諭すように答えていました。





レントゲンをここに呼びました。
今からレントゲンとりましょう!!
ちょっと肺の中を調べたいから、、、
今はCTを撮りにいかせるわけにはいかないし、、、
あっ、ジョカノさんは出てね?
あまり体によくないからね~。

ほどなくして、レントゲンチームが彼の病室へ。
私は外に出されます。







5分後、
先生が呼びにきます。

ちょっとレントゲン調べて、
また結果を見せにきます。
お昼にした血液検査の結果が酷いから、
血小板の輸血をします。
もうすぐ届くからね。
それと同時に免疫力上げたいからグロブリンも同時に入れますから。
ワタシさんには今話しました。

と、先生の説明を受けて、
私は彼の病室に戻りました。

彼はパジャマのボタンを一生懸命止めようとしていました。
なんで、止めてあげないのよと、
私は少し苛つきながら、
急いで彼の元に駆け寄ってボタンを止めようとしました。

マスクに送る酸素のボンベの音がうるさく、彼は私が病室に戻ったことに気付いてなかったようで、
驚きながら、
ボタンを止める私に

飯はいらないから取りに行かなくていいよ。

と、少し疲れた表情で言いました。
レントゲンが疲れたわけじゃありません、、、
きっと、血液検査の結果を聞き、落ち込んでるのです。


あっ、笑点始まるよ!!
と私はあえて明るく言いました。

彼がすぐにテレビをつけます。


毎週日曜日の私達の流れです。
笑点を見て、
ちびまる子ちゃんを見て、
サザエさんを見て、
最後にサザエさんとジャンケン。


私達はなるべくいつもの日曜日通りに、
なるべく流れを崩さないようにしていたような気がします。

彼は笑点を見て笑っています。
菊扇さんのくだらないダジャレが大好きなのです。

そして、ちびまる子ちゃんが始まる頃には、彼はグロブリンと血小板の輸血の点滴に繋がれていました。

実はこの少し前に先生と研修医が来て、
既に入ってる点滴のライン以外にもう一つラインを取ろうとしましたが、、、
二回トライして、取れませんでした。
彼の血管は注射や点滴のし過ぎでボロボロとなり、かなり上手な人でも探すのが難しいうえ、皮膚が赤く黒くなっていて余計に見つけにくくなっているのです。
結局彼は20分近く、縛られた腕を叩かれたり、針を入れられて、失敗してというのをやっていました。

その間も彼は私の方を見て、
変顔をしたり、
大袈裟に痛い顔したりしてふざけていました。


先生達が諦めて出ていきます。
その時、遂に彼の酸素レベルは10となりました、、、
彼の呼吸を見て、
先生がレベルを上げて行ったのです。


サザエさんが始まりました。
その間も、彼はずっと私の手を離さず
サザエさんを見ています。


また来週も一緒にサザエさん見ようねと彼が言いました。

うん!!
来週もじゃ、日曜日は必ず仕事やすむからね!!
と私は答えます。


ずっとずっと、この先も日曜日は一緒にサザエさんが見れると私は信じていました、、、
この日が最後になるなんて、
夢にも思っていませんでした、、、


どんな嫌なことがあっても、
どんなに辛いことがあっても、
日曜日になれば2人で笑点を見て、
ちびまる子ちゃんを見て、
サザエさんを見る、、、
それが私達のこれからも続く幸せな時間だと信じてやってきました。
その日曜日はまた来週も来る、、、
だから、一週間頑張れる、、、


彼もそうだったはずです。
そう思いたかったはずです。







今も彼が入れてくれた曲を聞いています。
たまたまかもしれません、
単なる偶然で、彼は深く考えずに入れてくれた曲かもしれません。


でも、今は私の胸を締め付ける歌詞ばかりです。
毎日彼の入れてくれた曲達から
彼のメッセージを探します。



偶然は必然で、
今、この時、必要なものだから
私の前にあるんだ。

この私の考え方を彼はいつも笑っていました。
ジョカノちゃんはいつも意味を持ちたがるよね~

と。


でも、そう思えば単なる偶然が
自分にとってかけがえのないモノに変身する。だから、俺はその考え方はすごく素敵だと思うよ。

そう言ってくれました。










「がんじがらめの社会で
幾度手を伸ばし
掴もうとしたモノはこれじゃない

逃げてもそれなりに幸せな
この世界で
まだ此処じゃないと言えるから

この手で
全て色あるものを変えれるなら
この胸の迷いに白黒をつける

他人に勝つことなんて
さほど難しくはない
自分に勝ち続けることを思えば

逃げてもそれなりに幸せな
この世界で
まだ此処じゃないと言えるから
先に行くよ」






vol.523 5月11日~お互いがお互いを~







「欠落したって ひきずったって
戻れやしないのさ
偉人にだって カラスにだって
終わりが来る 此処の定め

別れ惜しんで泣くだけじゃなく
いつか自分だって
変わらず死んで行くことも
忘れんじゃないよと

人が生きる為に与えられた時間は
きっと必要な時間の半分も
与えられちゃいないんだ

志半ばで死んで逝った者たちを
横目に死んだふりできんのか?
甘えてんじゃねぇぞ
生きてられる時点で
俺たちは意味を失っても
自分で終わらせて良い理由なんて
あるわけないだろう
行こう
前へ進め
9番目の雲に乗って」



彼が居なくなる前日彼が
私のiPodにいれてくれた曲です。
彼の実家に向かう京成線の電車の中で
聞いていました。

涙が溢れます。
夕方6時半をまわった電車は
混んでいます。
私はドアの右側のところに寄っ掛かり
外を見ています。
止まらない涙を、
彼のお母さんのために買った
大きな花束で隠して、、、


ドアの左側に立ち、私に向き合うように立っているスーツを着たおじさんが
私をずっと見ていますが
どうでもいいのです。
なんと思われてもいい、、、


私は綺麗な雨上がりの夕焼けの空に
一生懸命9番目の雲を探していました。
溢れる涙でうまく探せません。


今日はお母さんのお姉さんが明日、
神戸に帰ってしまうため
最後に一緒にご飯を食べるから
おいで、と、
彼のお父さんが誘ってくれました。

お母さんのお姉さん、
つまり彼の叔母にあたる方です。

彼が居なくなった日の月曜日から
ずっと、お母さんのそばにいてくれました。
お姉さんも息子さんが2人いて、
1人は彼や私と同じ歳、、、


子供のいない私には、
とうてい理解しきれない
「子供の死」というものを
このお姉さんなら理解できます。
お母さんを支えてくれました。
私には支えることのできない
お母さんの深い深い悲しみを
お姉さんが支えてくれていたんだと
思います。


着きました、電車を降りてトイレへ。
涙で崩れた顔をうまく直し、
お母さん、お父さん、お姉さんの元に急ぎます。
この人達のところにいると、
誰にも言えないことを吐き出してしまいます、、、
ご両親の方が辛いのだから、
しっかりしようと思っていたのに。
結局、苦しくてたまらない胸の中を
吐き出してしまい、
泣いてしまい、、、
何をやってんだ、私は、、、


お母さんの好きな黄色、
彼の好きな緑色、
お母さんがすごく喜んでくれました。
彼の霊前に飾りました。








彼の病棟に着いたのが、
13時くらいだったとおもいます。
彼の病室から看護師が何人かバタバタと出てきました。
そして主治医の先生も、、、
みんなナースステーションの中に慌ただしく入っていきます。


日曜日に先生がいるなんて珍しいな~
ん?てゆーか、初めてだな~と、
彼の病室に入ろうとすると
後ろから先生に呼び止められました。


今日はお母さんかお父さんは来る?


今日は私しか来ません。



先生の顔が曇ります。
私の脇を抜けてまた看護師が彼の病室に入って行きます。


一瞬、2年前の7月の朝を思い出して体が固まりました。


そっか、、、
ちょっと困ったことになってね、、、
と、先生が今の状況を説明してくれました。


先生の説明が終わり、
彼の病室の前で扉を開ける前に大きく深呼吸をしました。
大きく、、、
大きく、、、



私が病室に入ると、


あ、ジョカノちゃんが来た~!
と彼が言います。

来たよ~。
と私はいつものように言います。
そう、いつものように。




こうやって2人の日曜日がいつも始まります。
今日もいつものように始まりました、
ある1つを除けばいつもの始まりです。
ある1つを除けば、、、
















彼が酸素マスクを着けていました、、、


部屋に入った時、
私の顔が強張っていたのでしょう。
気持ちを落ち着けたつもりでも、
彼は見抜いています。



いや~、なんかね、朝はなんともなかったけど、急に昼くらいから少し呼吸が苦しくなってね~


と、明るく言ってきます。



私は彼のベッドを通り越して
いつものように窓際にバッグや上着を置きます。
ちょうど彼に背中を向けてるので、
背中で彼の声を聞き、
彼にバレないように今度は
小さな深呼吸をします。


そして、
振り向き、彼のベッドの横に座り、


きつかったやんないと?
我慢しとったん?
大丈夫?
と今度はちゃんと彼の目を見て
話しました。
動揺がバレないように、
自然に言えたと思います、、、


彼は嬉しそうに、

我慢してないよ!
大丈夫だよ!!
ジョカノちゃん、うがいしておいで!

と言いました。
いつから、彼は私のことを
「ちゃん」づけで呼ぶようになったのかな、、、
ずっと名前を呼び捨てだったのに、、、



私は部屋を出て洗面所に行き、
鏡の中の自分を見ます。
私より、ショックなのは彼の方なのに、
私が動揺してどうすんだ!
バカ!!


部屋に戻り、
また彼のベッドの横に座ります。
彼は少しベッドの頭の方を上げて
布団を腰までかけて座っています。


椅子に座ってる私の膝の上に手を乗せてきました。
これは、手を握ってほしいという
いつもの彼の催促です。
私はすぐに彼の手を握ります。


今日の真っ赤なスカート可愛いね!
アメリカの80’sの女の子みたいやね~
大きな水玉も可愛いやん!


ありがとう~
絶対褒めてくれると思ったよ!
水玉好きやもんね~?
ワタシくんが水玉好きやけん、
着てきたんよ~


その会話中、彼は酸素マスクを外していました、、、
私に平気なとこを見せたかったのか、
喋りづらかったのか、、、
彼が私の動揺を和らげようとしてくれていることが痛いほど解り、
また、私も彼に気を使わせないように
平然を装いいつものように
話をしていました、、、




すぐに看護師が部屋に入ってきました。


ワタシさ~ん、
呼吸苦しいですか~
と。


私は彼の胸元を見ました。
心電図の赤と黄色の線がパジャマの隙間から見えました、、、
私と手をつないでる反対の手の薬指には、酸素計が、、、
モニタリングされているのか、、、


彼が看護師に、

大丈夫だからさ、
ジョカノも来たし、なんかあったら
ジョカノが知らせるからさ~
呼んでもないのに来ないで~

と明るく冗談っぽく言います。
看護師は私に
よろしくお願いしますと言って出て行きました。


看護師が出て行くと、
普段はナースコールしても来ないくせにねぇ~と笑っています。



本当やねぇ~と
私も笑います。
酸素レベルは4となっていました。
病室の酸素レベルは最高が10です。
今の段階では、大丈夫そうだな、、、



彼はふざけて私の手をギュッとしてきます。
私はギュッと握り返します。
すると彼はギュッギュッとまた握ってきます。
私もやり返します。
彼は私といる時は、よくふざけ、よく冗談を言い、変な替え歌を歌ったり、モノマネしたり、、、
いつも、たくさん笑わせてくれていました、、、
昔、お母さんに
ワタシがあんなにひょうきんだと知らなかったわ~と言われたことがありましまた。
確かに、私も付き合いだして、すごくギャップを感じました。
すごくクールな人だと思っていたので、、、




彼が冗談を言い、私がツッコむと、

だからジョカノちゃんが好き~!
ちゃんと相手してくれるもん!!笑

とよく言われました、、、







ねぇ、先生が母ちゃんに電話するって言ってたから、ジョカノちゃんから
母ちゃんに電話して、来なくていいって言ってよ~
母ちゃんびっくりして来ちゃいそうやろ?!
今日はジョカノちゃんいるから
母ちゃん休ませたいんよ。
ほら、明日から大変になるかもしれんやん?!
まぁ、大変になったら困るんやけどね~と彼に言われ、
私は彼のお母さんに電話するために
病室を出ます。



お母さんに先生から電話はまだのようでした。
お母さんは先生から連絡きたら電話すると言い、、、

少ししたら電話がかかってきました。


ワタシはジョカノちゃんといたいみたいだし、、、
行かないほうがいいよね、、、
ワタシ大丈夫だよね、、、


お母さんは心配そうです。
当たり前です。
日に日にご飯が食べれなくなり、
せっかくやり始めたリハビリも休まなきゃいけないくらい弱っていって、
遂に呼吸が満足にできない。
私もお母さんも口には出さないにしても、2年前のことがよぎります。



いつも通り、よく笑って、
酸素マスクしてるのによく話してます!!
大丈夫じゃないと困りますよ!!

と、私は答えます。


そうよね、、、
さっき先生も、今まで乗り越えてきたんだから大丈夫ですよ!って言ってくれてたし、、、


なんかあったら、すぐに電話しますね!
と言ってお母さんの電話を切りました。


悔しさと怒りがこみ上げます。
これ以上彼を苦しめたら許さない!!
こんなに長く入院して、
家に帰れなくて、
腎臓が壊れてご飯も食べれなくなるくらい薬漬けで頑張ってるのに、、、
これ以上彼を苦しめないで、、、
誰に?何に?
この怒りは、、、

主治医?
看護師?
病院?
効かなかった数々の治療?
神様?
運命?

とにかく私は腹が立っていました、、、
お母さんの心配そうな声、
彼の気遣い、
そんなものが私の怒りを煽ります。


病室に戻ると、
彼は心配そうに私を見ます。
お母さんにちゃんと話をして、
今日は来ないようにお願いしたからね~と言うと彼は安心したようでした。


私がまたベッドの横の椅子に座ると、
彼がまた私の膝の上に手を置きます。
私は彼の手を握ります。


今までもお互いを思いやり、
お互いを心配して、
お互いを気遣いやってきました。
もちろん、ケンカや口論になることは多々ありましたが、、、
それでも、やはり私達は相手を尊敬しあい、尊重していました、、、


でも、この日はいつも以上に
お互いがお互いを思いやる気持ちが通じ合ってる感覚がありました。


繋いだ手から、
お互いの不安が相手に流れ、
そしてそれが安心となって戻ってくる感じ、、、


2人とも、すごく心安らぎ、
暖かい陽射しのせいで眠くなってきました、、、
彼は私の手を握ったまま寝てしまいそうです。
うつらうつらしています。
とても穏やかで気持ちよさそうです。


ふと、サイドテーブルを見ると、
手付かずの
栄養ドリンクとゼリーが置いてあります
、、、
お昼に出てるものです。


あぁ、あれすら食べれなくなってしまったのかぁ、、、
このままじゃ体力が持たない、、、
困ったな、、、





18階の彼の病室から見える景色は
緑が青く、
空も青く、

そして繋いでる彼の手は温かく、

私はこのまま時間が止まってもいいと思いました、、、
決して状況は良くないのに、、、
それでも、気持ちよくて、暖かくて、
なんとも幸せな時間が確かに流れていました、、、






« 新しい日記に行く  | HOME |  古い日記に行く »

文字サイズの変更

プロフィール

ワタシ(@tachyon516)

Author: ワタシ(@tachyon516)
⇒ ワタシのスペック ・ 病気の経緯

最新記事

ツイッター

全ての記事&月別アーカイブ

2015年 05月 【1件】
2014年 10月 【1件】
2014年 06月 【3件】
2014年 05月 【12件】
2014年 04月 【15件】
2014年 03月 【9件】
2014年 02月 【2件】
2014年 01月 【4件】
2013年 12月 【5件】
2013年 11月 【7件】
2013年 10月 【14件】
2013年 09月 【16件】
2013年 08月 【19件】
2013年 07月 【18件】
2013年 06月 【22件】
2013年 05月 【14件】
2013年 04月 【13件】
2013年 03月 【15件】
2013年 02月 【18件】
2013年 01月 【22件】
2012年 12月 【30件】
2012年 11月 【28件】
2012年 10月 【32件】
2012年 09月 【34件】
2012年 08月 【7件】
2012年 07月 【23件】
2012年 06月 【37件】
2012年 05月 【39件】
2012年 04月 【50件】
2012年 03月 【23件】

カレンダー

<< 05
2021
>>
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

記事のカテゴリ

カウンター 2013/1/20 ~

Template by たけやん